鷲の木5遺跡の環状列石の現状保存が決まりました。

2005年2月16日、北海道と日本道路公団はこの環状列石を、地下にトンネルを掘ることによって現状保存とすることに合意したと公表されました。
保存区域は国の史跡として指定する最小限の広さとし、トンネルの工事区域を85メートルとすることになったそうです。 しかしこれでは環状列石の外側にわずか25メートルほどの広さが確保できるだけです。山の尾根筋を削って切り通しを作る距離は280メートルほどでした。削られる部分にも縄文遺跡が発掘されています。個人的にはいささか残念な結末です。

 

 

北海道森町・鷲の木5遺跡の環状列石

 
 
2004年5月8日(土)午前10時30分、森町が募集した見学会に参加する機会に恵まれ、約100名の方々とともに、町の用意した2台のバスに分乗し、 森町役場前から現地に向かいました。

国道5号線を6〜7分ばかり北上し、左に折れ、工事用の山道に揺られ、15分ほどで発掘現場に到着。 この日は初夏のようなよい天気、森町では桜が満開、盛大に桜祭りも開かれていましたが、発掘現場では大勢の作業員の方々が忙しく立ち働いていました。

現地は、北海道中央縦貫道を通すために尾根筋に当たる場所を掘削し、切り通しを作る予定地に当たります。 尾根は掘削し沢は橋を架けるという地形になっています。
幅が150メートルくらいの比較的平坦な尾根の、表土を1〜2メートル剥がしたところで列石が発見されたそうです。 表土は南に20キロメートルほど離れた、北海道駒ヶ岳が、1640年に噴火した時の火山灰が堆積したもので、そのすぐ下に埋もれていたそうです。

森町教育委員会から頂いたパンフレットから、この環状列石について抜き書きしておきます。

列石の構築年代
   約4000年前−縄文時代後期前葉−

列石の構造
   外帯、内帯、中央帯の3重に石が丸く並べられる。

列石の規模
   外  帯  長軸約37メートル   短軸約34メートル
   内  帯  長軸約35.5メートル 短軸約33メートル
   中央帯   長軸約4メートル    短軸約2.5メートル

石材
   近くの桂川の川原石

石の数
   約530個 

その他
   石の下に墓はない。   
   列石を作る際あたりの地面を削って平らにする工事をしている。
   儀式の跡と考えられる砂利のかたまりが5ヶ所あり。   
   竪穴住居の跡などは見つかっていない。   
   埋設土器が1ヶ所見つかる。

 

 
竪穴墓域
   列石の南側5メートルのところに大小10個の土壙墓が見つかり、出土土器などから列石と
   同じ時期に作られたと考えられる。
     
 
現地で撮影した写真をご覧下さい。    クリックで拡大  一枚500〜700KBです。
       
 
この環状列石の価値は多言を要せず、現状保存に向けて前向きの検討がなされているようですが、本来高速道路の建設の伴う調査保存が前提のため、建設工事の変更に伴う膨大な
経費の増が議論されており、先日の北海道知事の発言では、最小限の面積で現状保存をし、トンネルを通すこととで解決を図りたいとのことが報道されました。

個人的には、ここを縄文公園にして、サービスエリアを建設すれば、全国でも有数の名物サービスエリアが出来上がると思うのですがどんなものでしょう。
噴火湾を見下ろし、駒ヶ岳から晴れた日には羊蹄山まで望める大パノラマが展望できるはずです。  北海道は津軽海峡から噴火湾沿岸にかけて縄文ロード構築計画があるそうですか
ら、ここにインターチェンジまでつくれば観光北海道としても大きな意味を持つことになります。
百年の計を誤らないでほしいものです。

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