日本にいた100万年前の原人〜第2話〜

  ミトコンドリア・イブについて〜第3話〜

  ミトコンドリア・イブの子孫の増加率〜第4話〜

イブに起こった突然変異〜第5話〜

  イブの子孫7万年で南米へ〜第6話〜 

  ミトコンドリアとは何か
  ミトコンドリアの簡単な解説です。ご存じない方は最初に読んでください。

(ホームに戻る)       参考本 「イヴの7人の娘たち」紹介ページ 


             初期原人の誕生地はインド大陸か?

                                  多くの仮定の上に立つ勝手な話 第1話


 類人猿のあるグループが原人と考えられる生物種に進化したのは500〜800万年くらい以前と考えている学者が多いようです。
 樹上を出て大地に生存の場を求めた我々のご先祖様。 場所はこの地球上のどこだったのでしょうか。 アフリカ・東南アジアには高等猿類が現存しています。 
中近東からインド大陸にかけては大型猿類が欠けていることを考えると、この地方の類人猿が進化して原人になったとも思えます。
 
*** この話では類人猿から現世人類に少しでも近づいた生物種を一応全部まとめて原人と呼んでおきます。***

 インド大陸の北上に伴い、それに乗っていた類人猿が環境の変化に適応して原人に進化した、と想像するのはどうでしょ
う。


 地学の世界で大陸移動説は広く承認されている学説です。 2億年ほど前には現在のアフリカ付近にゴンドワナ大陸と呼ぶ巨大な大陸が存在し、その後南極
大陸・オーストラリア大陸・
インド大陸などが分離し、現在の位置まで大洋の中を移動していったと考えられています。 

 アフリカとインドが分離し、インドが北上を始めたのは、8000万年前頃マダガスカル島の東部分と解説している文章が目に付きます。

 しかし、インド大陸がアフリカから分離した時代と場所については、いささか疑問があります。 

 地球儀を見て頂くとわかりますが、インド半島とアフリカ大陸の間には、南北にインド洋中央海嶺が海底を走っています。 この中央海嶺は海底からマグマが吹き
出しているところで、大陸はそのマグマに乗って移動していると考えられています。 中央海嶺にほぼ並行に走っているインド半島の西海岸から、中央海嶺に直交
する線を引くとアフリカ大陸東岸中央部、ケニヤの赤道付近に到達します。 そこがインド大陸の故郷と考えるのが自然ではないでしょうか。


 さらに、中央海嶺からインド半島西海岸までの距離はせいぜい2000〜2500キロメートルでしょう。 大陸の年間移動速度で割ってみれば分離を始めた時代が
推定できます。  何年か以前、ハワイ諸島が日本列島に近づく速度を計測したデータが発表されていました。 正確には覚えていないのですが、年間10センチメ
ートル以内の単位であったと思います。計算すれば出てきますが、2000キロを移動する年月は、年速10センチなら2000万年、年速5センチなら4000万年との
答えが出ます。


 インド大陸がアフリカから分離し移動を始めたのは、今からせいぜい4000万年前、場所は現在のケニヤ付近との結論に達します。 

 大陸移動説に従い、インド大陸がアフリカから分離したとして、アフリカに類人猿が誕生したなら、インド側にも類人猿が生まれても何の矛盾も起
きません。

 大陸移動説は東南アジアの複雑な地形の起源を説明していないのですが、アジア唯一の類人猿オランウータンボルネオ島・スマトラ島に生息していること
は、これらの島々も
ゴンドワナ大陸の一部であり、進化の結果として類人猿を生み出す能力があったのです。
 類人猿に進化するサルはどの大陸にも存在できたはずです。南極とオーストラリアは比較的早く分離したために、アフリカとは異なった生物の進化の道をたどり
ましたが、インドが分離を始めた頃はすでに猿類の進化が相当進んでいたのでしょう。


 原始的なサルであるキツネザル科の現在の分布区域は、アフリカ・インド・東南アジアですが(注)、これをもってゴンドワナ大陸の存在理由とするなら全く同じ地
域に
原類人猿が生息していたと考えることは合理的に思えます。

 一般に、インド大陸がインド洋を北上中、どのような生物の進化過程があったか、論じた書物をあまり見ていません。(私の不勉強のせいかもしれません。) 
 他の動物はどうでしょう。アフリカでライオンが進化しました。同じ肉食獣のトラがインド大陸で進化し、ユーラシア大陸と衝突後アジア各地に放散したとすれ
ば、シベリアからインドネシアまで広がる、トラの広い生息範囲を説明できるように思えます。

 人類学にはミッシングリンクという言葉があります。 類人猿と現在発見されている原人の間を結ぶ初期原人(猿人)の存在を立証する化石が発見されてい
ない空白を指しています。 アフリカ各地から出てくる人類化石の連続性の中に、ぽっかりと空白期間があいているわけです。

 ミッシングリンクが見つからない一番簡単な説明を、そこに初期原人(猿人)がいなかった、としてみたらどうでしょう。
 それでは何処にいたのか? 答えがインド大陸となります。

 赤道付近の熱帯雨林に棲みついたアフリカとボルネオの原類人猿は、類人猿までの進化に止まっています。 徐々に北に向かう大陸に乗り、

 気候の変動による環境変化から刺激を受けたインド大陸の原類人猿は、環境適応をしていく過程で必然的に現世類人猿
が経験しなかった世界に足を踏み入れ、結果として人類への第一歩を印したのです。
 
 

 気候の変動は、生物進化を促進する大きな要因の一つに考えられています。

 私はひそかに、インド大陸で古い原人化石が発見されることを期待しているのです。
 インドが原人発祥の地との考えに納得がいったでしょうか。

 以下フィクションとしてのこの話の結末です。

 
 インド大陸がユーラシア大陸に衝突して初めてヒマラヤ山脈が形成されます。 1000万年前アジア大陸に近づいたインドは徐々にヒマラヤ山地を押し上げまし
た。1年に
2ミリメートルずつヒマラヤが上昇したとしても、500万年で1万メートルに達します。

 原人の放散が始まった頃、ヒマラヤからチベット、ミャンマー北部、中国西部にかけて大平原が広がっていたのではないでしょうか。
 
 インダス川付近から中近東を通り、アフリカに渡った原人のグループの中から、500万年後に、

ミトコンドリア・イブとなる突然変異を持った女性が誕生したのです。



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yokohorikt@ybb.ne.jp

 

 (注) 

参考図書 

今泉忠明著

 進化を忘れた動物たち 

講談社現代新書 

 1989年

 

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